採用の相談の奥にある、会社の本当の危機

地方の中小企業から採用のご相談を受けるなかで、強い危機感を抱くことがあります。

社員の高齢化が進み、若い人を採用したい。求人を出しても条件面で他社に負ける。採用担当者が退職し、業務を引き継ぐ人がいない。賃金を上げたいが利益が足りない。価格転嫁も進まず、次の事業戦略も描けていない。業務効率化を進めようとしても、現場の抵抗に遭う。

一見、別々に見えるこれらの問題は、すべてつながっています。

採用とは、単に足りない人数を外から補充することではありません。事業戦略、収益構造、組織体制、役割分担、意思決定、企業文化といった、会社の内側の状態がそのまま表に出る経営活動です。

たとえば、業務改革の経験者を採用できたとしても、経営者が何を託すのかを言語化できていなければ、その人は動けません。会社が目指す未来が共有されておらず、現場に変化を受け入れる土壌もなければ、優秀な人ほど孤立します。

採用は、会社を変えるきっかけにはなります。しかし、会社を変える主体は、あくまで会社自身です。

候補者も、給与や休日だけを見ているわけではありません。その会社が今後どこへ向かうのか。自分の経験を何に生かせるのか。どのような仲間と、何を変えていくのかを見ています。

現在の条件が完璧でなくても構いません。

「これまではこうだった。しかし、これからはこう変わる」

その意思と行動が伝われば、完成された会社を探す人ではなく、変革に参加したい人が現れる可能性があります。必要なのは、単なる従業員ではなく、会社の未来をともにつくる同志です。

だからこそ、「人が採れない」と嘆く前に、経営者は自社に問いかけなければなりません。

私たちは、どのような会社になりたいのか。
その未来を阻んでいる本当の課題は何か。
今いる人材と資源で、できることはないか。
新しく迎える人が、力を発揮できる環境を用意できているか。

何も変わらないまま、採用だけで状況を変えようとしても限界があります。採用の失敗は、候補者の能力不足ではなく、受け入れる会社側の準備不足によって起こることも少なくありません。

人材紹介の仕事も、条件に合う人を探して紹介するだけではありません。

企業が抱える課題を理解し、その課題に対して、どのような経験や視点を持つ人が必要なのかを考える。そして候補者に対しても、会社の良い面だけでなく、積み残された課題や越えるべき壁を誠実に伝える。

そのうえで、「自分の経験を、この会社の変化に生かしたい」と思える人を探す。

採用とは、人を埋める仕事ではありません。
会社の未来に必要な仲間を見つける仕事です。

そして採用活動とは、外に人を求める前に、自社の現在地と未来に向き合う、経営そのものなのだと思います。

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