スポーツ界の近年の躍進

日本のスポーツ界の近年の躍進を手がかりに、中小企業の打ち手・地方創生に想いを馳せてみたい。
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幾分既に古い話になってしまうが、ミラノ・コルティナ冬季五輪で日本は金5を含む24個のメダルを獲得し、2006年トリノ五輪から大きく前進した。しかもその間、競技者層にあたる若年人口は大きく減っており、母集団の縮小にもかかわらず成果を伸ばした点に意味がある。
これに対し日本経済(中小企業や地方自治体)は、人口減少を理由に低迷を受け入れるような空気があるが、スポーツの成功は必ずしも人口減少が衰退を意味しないことを示している。
両者(スポーツと中小企業あるいは地域自治体)を分けた最大の違いは、投資への姿勢だという。スポーツ界では国立スポーツ科学センター(JISS)の設立など、競技力向上のための環境整備が進み、フェンシングのようにかつては練習拠点にも恵まれなかった競技が、継続的な投資によって世界水準へ成長した。
一方、日本経済では中小企業が長年にわたり投資を控え、現預金を積み上げる守りの経営を続けてきた。無形資産やAI活用への投資もまだ不十分で、それが生産性停滞の大きな原因になったと指摘されよう。
もう一つの鍵は「開放性」である。フェンシング協会は早くから海外コーチを積極登用し、国籍にこだわらず最適な人材を受け入れてきた。ほかの競技でも外国人指導者の活用が成果につながっている。
対して中小企業や地方自治体は、対日直接投資や外国人経営幹部の比率が低く、海外の人材・技術・資金を十分取り込めていない状況が多いのではないか。半導体やAIで海外との差が広がるいまこそ、排外的になるのではなく、「開かれたマインドセット」が必要だと説く。
スポーツ界では新競技で若い才能が次々台頭するのに対し、経済では既存大企業の比重が依然大きく、新陳代謝が弱い。
デフレの長期化や中小企業保護策の積み重ねにより、生産性の低い企業が温存され、人材や資本がより高い付加価値を生む分野へ移りにくくなった。
その結果、日本はドイツよりはるかに多く働いてもGDPで逆転を許すほど、生産性で差をつけられている。
日本人の能力そのものが低いのではなく、投資不足と閉鎖性、市場機能の弱さが力を発揮させていない。ゆえに、経済再生には、未来への積極投資と外部に開かれた成長戦略が不可欠だと思料する。

