日本都市の木陰

近ごろ日本の町なかでは、夏の暑さをやわらげてくれる木陰が、だんだん少のうなってきております。東京23区では、木の枝葉が地面を覆う割合、つまり「樹冠被覆率」が、2013年の9.2%から2022年には7.3%まで下がり、このあいだに東京ドーム256個分もの木陰が失われた計算になるそうです。とりわけ住宅地や道路での減り方が大きゅうて、町の緑が目に見えて減ってきていることがわかります。

その背景には、庭木と街路樹の減少があります。住宅地では、高齢化にともなって相続が増え、土地を細かく分けて売ったり、集合住宅に建て替えたりすることが多うなりました。その際、庭木が伐られてしまうことが少なくない。また、街路樹も全国でピーク時より50万本減っており、自治体では管理費の負担や老木化、倒木の危険などから、伐採しても植え替えをせえへん場合があるといいます。

そのうえ近年は、成長がゆるやかで手入れのしやすいハナミズキのような木が好まれておりますけれど、こうした木は枝葉の広がりが小さいため、できる木陰もどうしても限られてしまいます。つまり、木そのものはあっても、暑さをしのぐ力は以前より弱うなってきている、いうことです。

けれども、木陰の働きはたいへん大きい。カナダの研究では、木陰を今より1割増やせば平均で0.8度、3割増やせば1.5度ほど気温を下げられる可能性があると示されました。木は暑さをやわらげるだけやのうて、雨水をたくわえて防災にも役立ちますし、景観を整えることで町の価値を高める力も持っております。せやさかい、樹木はただの飾りではなく、都市を支える「グリーンインフラ」として大事な存在なんです。

。海外の大都市では、すでにそうした考え方にもとづいて政策が進められております。パリでは2030年までに市内の3割を緑地にする計画があり、ニューヨークでも2040年までに樹冠被覆率30%を目指しているそうです。猛暑への備えとして、木を生かした町づくりに本腰を入れてはるわけです。それに比べると日本では、道路の幅が狭うて街路樹を増やしにくい事情もありますけれど、木を十分に生かした都市整備は、まだこれからやと言えましょう。

これから気候変動がいっそう進むなか、日本でも木を「手間やお金のかかるもの」と見るのやのうて、「町を守り、支える大切な資産」として見直していく必要があります。自治体は樹木の種類や本数、樹齢などのデータをきちんと集めて公開し、木を増やすことでどれほど涼しゅうなり、防災に役立つのかを、市民にわかりやすく伝えていかんとあきまへん。失われていく木陰をそのままにせんと、木の力を生かした持続可能な町づくりへと、今こそ歩みを進めることが求められております。

メルマガ登録

ご登録して頂いた方に下記の3つの特典を差し上げます。(有料級!)

  • 特典①: 5 分で残酷なほど現実がわかる「右腕候補」ポテンシャル診断シート
  • 特典②: 二代目社長がハマる「育成の落とし穴」回避ガイドブック
  • 特典③: 幹部の心に火をつけ、主体性を爆発させる「魔法の質問 30 選」
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次