ファミリービジネスの持続的成長へ:暗黙知の形式知化とガバナンス

日本企業の約9割を占めるファミリービジネス(家族経営)は、5月17日の日経新聞によれば、長期視点や迅速な意思決定という強みを持つ一方、事業承継や親族間のトラブル、経営の独善化といった課題も抱えています。持続的成長に向け何が必要か、経営者・専門家・行政の3氏の提言から探っている。
中小企業の経営者にも必要な視点だと思ってシェアしてみました。
◆ 創業家のルール明文化と公私混同の排除
オタフクホールディングス会長の佐々木茂喜氏は、親族間の不和を防ぐ「理解と調和」を重視します。同社では「家族憲章」を制定し、入社制限や引退年齢などのルールを明文化したほか、「ファミリーオフィス」を設立して公私混同を排除しました。筋が通らずもめる前に暗黙知を形式知化することが、創業家のガバナンスに不可欠だと訴えます。
◆ 事業の延命ではなく、継承と再編を
パトリモニウム・ファミリアエ研究所所長の中島努氏は、単なる事業の延命ではなく、時代の変化に応じた事業再編や資本の再配分が必要だと指摘します。一族の価値観や意思決定の仕組みを言語化し、事業や資産、人的資本までを統合的にガバナンスする場として、本来の「ファミリーオフィス」を機能させるべきだと提言します。
◆ リスクを最小化し、独自の活力を生かす
経済産業省審議官の河野太志氏は、5月公表の「ファミリーガバナンス・ガイダンス」に触れ、日本の創業家は行動規範の明文化率が20%と低いリスクを指摘します。ガイダンスを通じて家族憲章の項目例などを提示し、独善経営などのリスクを抑えつつ、ファミリービジネスが持つ独自の多様な活力を支援する方針です。
◆ 結び:形式知を礎とした価値創造へ
3氏の指摘に共通するのは「暗黙知の形式知化」です。これは非上場企業だけでなく、説明責任が求められる上場企業にも通じる基本原則です。単なるルール遵守の形式主義に陥るのではなく、明文化された理念を礎に、時代に合わせた新たな価値を創造し続けるダイナミズムこそが、持続可能な成長をもたらします。

